腰痛診療ガイドラインが作成された理由①

腰痛診療ガイドラインが作成された理由①
エビデンス
■AHCPR(アメリカ医療政策研究局)が『成人の急性腰痛診療ガイドライン』の作成に着手したのは、
次の4つの理由があったからです。
【1】アメリカでは腰痛の罹患率が15~20%と高く、
就業不能の原因として挙げられる第1位が腰痛で、
就業年齢の50%が毎年腰痛を発症している
(http://amzn.to/vrNNX9 http://1.usa.gov/rCoRH0 )。
日本人が訴える症状のワースト3は腰痛・肩こり・関節痛ですから、
腰痛を含む筋骨格系疾患はアメリカだけの問題ではありません。
■【2】腰痛はプライマリ・ケアにかかる患者が訴える2番目に多い症状であり、
整形外科医・神経外科医・産業医を訪れる最大の理由でもあり、
外科手術を受ける3番目に多い疾患でもあることから、
経済的・心理社会負担がきわめて大きい(http://1.usa.gov/vfUs5A )。
産業関連腰痛に支払われる休業補償と労働損失額を合わせると、
年間医療費の3倍に上ります。腰痛はどの国にとっても、
公的保険制度を揺るがしかねないほど医療費のかさむ疾患なのです。
■【3】腰痛による活動障害に苦しむ患者の大部分は、
臨床転帰を改善させる有効な診断と治療を受けていないという科学的根拠が増加中である
(http://1.usa.gov/skKUsb http://1.usa.gov/ta2GAI
http://1.usa.gov/sWhMm0 )。
腰椎手術の失敗に関する大量の医学文献があるにもかかわらず、
外科手術を繰り返して腰痛が改善したという報告はほとんどなく、
中には20回も手術を繰り返したという患者さんの記録さえあります。
■【4】腰痛の研究機関が増加してきたために、
一般的に行なわれている腰痛治療の体系的評価が可能となった。
現存する科学論文には欠点があるものの、
現在行なわれている治療法の有効性と安全性に関する結論には充分な科学的根拠がある
(http://1.usa.gov/uhlYSO )
AHCPR(アメリカ医療政策研究局)が作成した『成人の急性腰痛診療ガイドライン』は、
1984年~1992年までに発表された医学文献を徹底的に分析し、
もっともエビデンスレベルの高い第一級の証拠に基づく知見です。
新しい腰痛・坐骨神経痛の概念に基づく治療が有効です。
腰痛・坐骨神経痛がどういうものか?
どういう症状がでるのか?原因は何なのか?有効な治療は?やってはいけないことは?どのくらいの期間で治るのか? 等々
ご存知でしょうか?
聞きかじった知識や自分自身の体験などの限られた情報を基に考えて、対処していませんか?
腰痛・坐骨神経痛が治らずに長引いている原因を自ら作ってしまっている可能性があります。
より真実に近い科学的事実に基づき考えることが重要です。
その上で、何をするのか自由に選択されると良いと思います。
このような実証研究によって得られた事実を元にして、再構成された新しい腰痛・坐骨神経痛の概念に基づく治療が有効です。