腰痛疾患は3つに分類
エビデンス
3つの分類
トリアージ(診断用分類)は「非特異的腰痛」「神経根症状」「重篤な脊椎病変の可能性(レッドフラッグ)」の鑑別診断であり、専門医への紹介・検査・管理を決定する根拠となる(★)。トリアージは病歴聴取と理学検査で行なわれる(★)。http://amzn.to/Hk8veA
腰痛疾患を詳細な病歴聴取と簡単な理学検査で3つのカテゴリーに分類するという考え方は、この時点(1996年)で確立されたと言っていいでしょう。
患者の年齢・罹病期間や症状の内容・日常生活と仕事への影響・過去の治療に対する反応は急性腰痛の治療において重要である(★★)。病歴聴取によってレッドフラッグ(危険信号)を確認できる。特に55歳超の患者にとっては重要(★★)。http://amzn.to/Hk8veA
言うまでもなく急性腰痛の初期評価は、画像検査よりも問診(病歴聴取)の方がはるかに重要だということです。
1、非特異的腰痛
非特異的腰痛とは、「発症年齢が20~55歳」「腰仙部・臀部・大腿部の痛み」「メカニカルペイン(動作によって痛みの程度が変化する)」「患者の状態は良好」で、専門医へ紹介する必要はない。http://amzn.to/Hk8veA
6週間以内に90%の患者が回復するグリーンライト(自己限定性疾患)。万国共通のゴーサインですから画像検査は必要ありません。
2、神経根症状
神経根症状とは、「腰痛よりも片側下肢痛が重篤」「足またはつま先へ放散する痛み・しびれ・感覚異常」「SLR(下肢伸展挙上)テストで下肢痛が再現」「局所における神経徴候」で、発症後4週間以内は専門医へ紹介する必要がない。http://amzn.to/Hk8veA
これも6週間以内に50%の患者が回復するグリーンライト(自己限定性疾患)です。やはり万国共通のゴーサインですから画像検査は必要ありません。
3、重篤な脊椎病変の可能性(レッドフラッグ)
重篤な脊椎病変の可能性(レッドフラッグ)とは「発症年齢が20歳未満・55歳超」「非メカニカルペイン」「胸部痛」「がんやHIVの既往歴・ステロイド使用歴」「体調不良・体重減少」「広範な神経症状」「変形」で4週以内に専門医への紹介が必要。http://amzn.to/Hk8veA
レッドフラッグ(危険信号)が認められる場合は、画像検査(単純レントゲン撮影・MRI)や血液検査(ESR・CRP)が必要です。腰痛疾患にCTはお勧めできません。
重篤な脊椎病変の可能性(レッドフラッグ)には直ちに専門医へ紹介しなければならない馬尾症候群がある。「膀胱直腸障害」「起立不能・歩行不能」「サドル麻痺」があれば緊急手術が必要。http://amzn.to/Hk8veA
プライマリーケアレベルで馬尾症候群にお目にかかることはまずないでしょうけど、万が一にも見つけたら48時間以内に手術をしないと後遺症が残ってしまいます。気をつけましょう。
馬尾症候群の症状と徴候、広範な神経症状、重度または進行性の運動麻痺は、重篤な神経系疾患を示す危険信号である(★)。年齢に関連した重大な外傷歴(若年者の高所からの転落や交通事故、骨粗鬆症や高齢者の転倒など)は骨折の可能性を示唆する(★)。http://amzn.to/Hk8veA
これらのレッドフラッグがある場合は生物学的問題ですから専門医へ紹介しなければなりません。特に馬尾症候群は緊急を要します。けっして見逃すことのないように注意しましょう。
まとめ
レッドフラッグは見逃さない!
レッドフラッグが無ければ、安心してください。正しい対処で改善します。