慢性腰痛への心理社会的介入の有効性
エビデンス
その1
慢性の非特異的腰痛に対する心理社会的介入の有効性に関する体系的レビューによると、従来の標準的な治療よりも、積極的なリハビリテーション(認知行動療法に基づく運動療法)の方が活動制限と疼痛の改善に効果的であることが判明。http://1.usa.gov/In9glE
これまで当たり前のように行われてきた腰痛治療に効果がないことは多くの研究によって証明されています。そろそろ有効で安全な治療を始めましょう。このままだと腰痛患者は増えることがあってもけっして減ることはありません。
その2
腰痛患者のオペラント条件付け介入に関する15件のランダム化比較試験(3,737名)の体系的レビューによって、理学療法士によるオペラント条件付け介入は慢性腰痛による長期活動障害に有効であることが判明。http://1.usa.gov/bcTM5B
症状に注目せず出来たことに注目することで活動障害が改善するというわけです。飴と無視をうまく使って患者を勇気づけ、疼痛行動を減らして活動範囲を広げていきましょう。
心理社会的介入とは
症状の発症や慢性化の危険因子となる心理的社会的因子(イエローフラッグ)を対象とした治療です。
慢性化した痛みに有効です。
代表例
・認知行動療法
・読書療法
・オペラント条件付け
・リエゾン療法
・集学的リハビリテーション
心理的社会的因子とは
症状の発症や慢性化の危険因子となります。
以下の場合、リスクの高い状態(慢性化しやすい)です。
・とても強い危険因子を持っている
・弱くても複数の危険因子を持っている
強い危険因子の例
・腰痛は有害なもの、重い障害を招くという思い込み
・痛みを恐れて活動をレベルを下げる
・抑うつ状態・引きこもり
・自ら治そうとせず、受け身の治療
新たな腰痛概念とは
実証研究によって得られた事実を元にして、再構成されました。これまでは「生物学的損傷」という画像の異常所見や肉体への負担が原因というものでした。それを「生物・心理・社会的疼痛症候群」という心理的要因や社会的要因も原因であるというものです。
これまでの「生物学的損傷」だけが原因であるという古い考え方や治療法が却って治りを遅らせていることも判明しました。古い考えを改め、新しい考えを知るだけで治療効果があります。