腰痛・坐骨神経痛に対する手術の適応性(椎弓切除術)
エビデンス
外科医5名と非外科医4名から成る委員会を組織し、1000例の仮想腰下肢痛患者に対する椎弓切除術の適応性を評価した結果、「適切」とされたのは11%のみで、26%は「どちらとも言えない」、63%は「不適切」とされた。http://1.usa.gov/VdOTPL
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎辷り症などの腰下肢痛患者に対して手術を勧める科学的根拠は乏しく、手術適応に関するコンセンサスは得られていません。ただし腰痛だけの患者は椎弓切除術の適応はないという点で委員会全員の意見が一致しています。
考え方
手術適応は
・麻痺がある
・科学的根拠に基づいた保存療法をしっかりやっても坐骨神経痛が改善しない
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎辷り症は特異的腰痛に分類されることが多いです。
ですが、
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎辷り症が画像所見で認められても、それが悪さ(症状の原因)をしているかどうかは分かりません。(原因が特定できない)
そういうことから、
椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・脊椎辷り症などの骨や椎間板に形の異常があっても、下肢に神経痛(坐骨神経痛)があっても
非特異的腰痛に分類する流れになっています。
特異的腰痛?非特異的腰痛?
腰下肢痛の分類
非特異的腰痛と特異的腰痛に分ける方法があります。
・非特異的腰痛とは、原因が特定しきれないもの
原因が特定できないと聞くと不安や怖さを感じるかもしれませんが、有効な対処方法は分かっていて、それを行えば改善します。
一般的なイメージの腰痛はここに分類されます。
腰痛全体のうち85%程と言われることが多いです。
・特異的腰痛とは、原因が特定できるもの
残りの15%程と言われることが多いです。
癌や感染症、腫瘍、骨折など、危険な病気が分類されます。
新しい腰痛・坐骨神経痛の概念に基ずく治療が有効です。
腰痛・坐骨神経痛がどういうものか?
どういう症状がでるのか?原因は何なのか?有効な治療は?やってはいけないことは?どのくらいの期間で治るのか? 等々
ご存知でしょうか?
聞きかじった知識や自分自身の体験などの限られた情報を基に考えて、対処していませんか?
腰痛・坐骨神経痛が治らずに長引いている原因を自ら作ってしまっている可能性があります。
より真実に近い科学的事実に基づき考えることが重要です。
その上で、何をするのか自由に選択されると良いと思います。
このような実証研究によって得られた事実を元にして、再構成された新しい腰痛・坐骨神経痛の概念に基づく治療が有効です。