慢性腰痛に椎間関節ブロック注射は効果あるのか?
エビデンス
その1
慢性腰痛患者97名を対象に椎間関節ブロックの有効性を6ヶ月間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、プラシーボ(生理食塩水)群とステロイド群の改善率に差は認められなかった。慢性腰痛に対する椎間関節ブロックに効果はないことが判明。http://1.usa.gov/186g87K
慢性腰痛患者の椎間関節にステロイドを注射しても効果は認められないことから、慢性腰痛の原因は椎間関節の炎症ではないことが分かります。
その2
慢性腰痛患者109名を対象に椎間関節ブロックの有効性を3ヶ月間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、椎間関節ブロック群、椎間関節周囲ブロック群、プラシーボ(生理食塩水)群の改善率に差は認められないことから心理社会的因子が影響と結論。http://1.usa.gov/pFTonQ
慢性腰痛に対する椎間関節ブロックの効果は、自然治癒と心理社会的因子によるものだということです。
解釈
慢性腰痛(発症から3か月以上経過した腰痛)に対して椎間関節ブロックの有効性を結論付けることは難しいようです。また、使われ方としては一般的には、急性期の痛みや慢性期に急に悪化した場合が多いようです。
慢性腰痛は心理社会的因子の関与を前提として対処しなければなりません。身体の治療だけしていてもなかなか高い効果はでません。心・脳と身体の両面の対処が必要です。
新しい腰痛の概念に基づく治療が有効です。
新しい腰痛概念とは
これまでは「生物学的損傷」という画像の異常所見や肉体への負担が原因というものでした。それを「生物・心理・社会的疼痛症候群」という心理的要因や社会的要因も原因であるというものです。
治療
原因が一つではなく、いくつかの要因が重なって、絡み合っています。ですから、身体だけでなく、心理的アプローチも含めて多面的に集学的に行うことがとても重要です。単一の治療で改善するのは困難です。